2013年 09月 20日

《緊急共同声明: 京都府京丹後市・経ヶ岬での米軍基地建設計画の中止・撤回を求めます》

《緊急共同声明: 京都府京丹後市・経ヶ岬での米軍基地建設計画の中止・撤回を求めます》

 2013年2月、日米首脳会談で米軍の早期警戒レーダー「Xバンドレーダー」を日本国内に追加配備することが「合意」されました。両政府は京都府京丹後市経ヶ岬(きょうがみさき)にある航空自衛隊経ケ岬分屯基地を配備先とし、京都府、京丹後市などと調整を続けています。既存の自衛隊基地内に米軍レーダーを設置するだけでなく、レーダーの運用のために必要な管理棟、宿泊施設、冷却装置や電源設備などを設置・建設するため、防衛省は約5haの民有地を買い上げ・借り上げて、米軍基地へと拡張する計画になっています。

 この計画が発表された後、京都府・山田啓二知事と京丹後市・中山泰市長は異例のスピードで受け入れに向け調整を行なってきました。その結果、十分な市民への説明や協議を行なわないまま、山田知事は「(京丹後市の)条件に政府がしっかり対応するなら、受け入れに必要な協力ができる」と受け入れの意向を表明しました(京都新聞8月1日)。

 私たちは、京都府京丹後市・経ヶ岬での米軍基地建設に反対します。

 第1に、経ヶ岬周辺の地元の方々は、この計画をまったく了承しておらず、また、防衛省、京都府、京丹後市による稚拙で拙速な進め方に怒っています。たとえば、地元「宇川」地区の住民らによる「米軍基地建設を憂う宇川有志の会」は、「私達住民はカヤの外に置かれたままです。地元住民をないがしろにするのもいい加減にして頂きたい」と述べています(※1)。これまで、防衛省、京都府、京丹後市は、形式的な住民説明会を数回開催してきました。しかし、説明会では、住民のほとんどから反対や疑問、計画の撤回を求める意見が出されています(※2)。京都府知事は京都府を代表して受け入れの意向を示していますが、そうであれば、広く京都府民の意向を確認するべきです。しかし、京都市内では一度も説明会は開かれておらず、『きょうと府民だより』などの広報誌での情報提供もなされていません(9月5日時点)。防衛省、京都府、京丹後市による計画の進め方は、地元のみならず京都に生きる全ての人々の声を無視する、民主主義に反する行為です。
※1 米軍基地建設を憂う宇川有志の会「ビラ第7号」(2013年8月1日)
   http://blog.livedoor.jp/noarmydemo/archives/32080834.html
※2 毎日新聞8月19日、京都新聞8月8日。また、8月7日の説明会録画映像を参照して頂きたい。
「(19分)20130807 京都府京丹後市 エックスバンドレーダー(と言う名の米軍基地)配備に関する説明会」 http://www.youtube.com/watch?v=s0QDDpJpWyw
「(2h27m)20130807 京都府京丹後市 エックスバンドレー(と言う名の米軍基地)配備に関する説明会―質疑―」 http://www.youtube.com/watch?v=x3sLu3_y3wM

 第2に、米軍基地建設に伴う、周辺住民の健康や生活、動植物や自然環境への影響が十分に調査、検討されていません。設置予定のXバンドレーダーは1000km先の10cm単位の物体を識別する極めて強力なものであり、人体や日常生活、漁業、動植物や自然環境への悪影響の可能性が指摘されてきました。京都府は専門家を集めた参与会による検討を行ないましたが、参与会が参照し分析した主な資料は、計画を進めている防衛省の説明やレーダーの開発会社であるレイセオン(Raytheon)社のホームページからの情報でした。にもかかわらず、参与会は「生体等への影響は考えにくい」と結論づけています(京都府参与「TPY-2レーダーの電磁波の影響に関する参与会の意見」2013年7月※3)。参与会の意見は、客観性や科学的根拠を欠くものです。また、建設予定地の経ヶ岬には希少野生動植物に指定されている「ハヤブサ」が棲息しており、その周辺には絶滅危惧種のアベサンショウウオの生息地、鳶や鷲、希少種の多い砂浜など貴重な生態系があります。レーダーそのものの影響だけでなく、建設や運用に伴う排水、粉塵やオイル、河川や伏流水の利用の増加、急激な人口増加などに伴う様々な環境への負荷や悪影響を調査・検討すべきですが、それもなされていません。在日米軍基地に関する環境保護の遵守基準等を定めた「日本環境管理基準」に基づけば、自然資源や絶滅危惧種の保護を保証することが求められており、そもそも経ヶ岬での計画そのものが基準に反する可能性があります。
※3 http://www.pref.kyoto.jp/somucho/documents/xband_20130730.pdf

 第3に、米軍建設予定地周辺の美しく豊かな自然や文化遺産を保護しようとしてきた人々の思いや取り組み、京都府や京丹後市の政策と、米軍基地建設は相容れません。まず、ユネスコの支援を受け、地球科学的な知見から重要な自然遺産の保全や教育への活用を行なっている世界ジオパークネットワーク(Global Network of National Geoparks)の審査により認定された「世界ジオパーク」の1つ、「山陰海岸ジオパーク」に建設予定地は含まれています。経ヶ岬とその周辺は、世界的にみて保全が求められる自然遺産なのです。また、計画地は丹後天橋立大江山国定公園の域内にあり、自然公園法に基づき保護されるべき土地です。さらに、建設予定地の真横には、清涼山九品寺(通称「穴文殊」)がありますが、京都府は穴文殊を「緊急に保護を要する地形・地質・自然現象」に定め、「レッドデータブック」に登録しています(※4)。美しく大きな老松は「京都の自然200選」に選ばれた穴文殊が誇るものですが、米軍は安全上(防衛上)の問題からこれを切り落とすよう求めるのではないかという情報もあります。予定地周辺には、「日本の棚田百選」に選ばれた袖志の棚田(※5)もあります。自然・文化遺産や景観を保護してきた世界中の人々の取り組みと、新たに建設し拡張される軍事基地とは相容れないものです。
※4 京都府「京都府レッドデータブック」 
   http://www.pref.kyoto.jp/kankyo/rdb/geo/db/sur0060.html
※5 京都府「袖志の棚田」 http://www.pref.kyoto.jp/furusato/15600037.html

 第4に、安全保障政策をめぐる問題です。京都府知事、京丹後市長は、建設される米軍レーダー基地が日本の安全保障のために必要という防衛省の説明に一貫して理解を示してきました。しかし、設置されるのは米軍の長距離レーダーであり米国本土防衛のためのものです。また、「過度な沖縄の基地負担」を考慮して米軍基地建設を容認するといった意見もありますが(※6)、新たな米軍基地建設を正当化するために「沖縄の基地負担」という言葉が使われていることに強い違和感を持ちます。さらに、京丹後市民が米軍の事件・事故への不安を述べたのに対し、防衛省は「日米地位協定により処罰が疎かになったり、犯罪を犯した米軍が訴追や裁判等から守られているといった事実はありません」と言い切っていますが(※7)、沖縄の現実を見ればこれが虚偽の説明であることは明らかです。私たちは、沖縄からの「基地・軍隊は要らない」という声を聞き、学び、沖縄にも京丹後市にも「基地・軍隊は要らない」と主張するべきです。オスプレイの沖縄配備に反対もせず、沖縄の米軍基地撤去をこれまで求めてこなかった政府、政治家や行政が、「沖縄の基地負担軽減」を根拠として新たな米軍基地を京都で受け入れるという倒錯した事態は、基地・軍隊を所与の前提とする軍事化された社会や思考をさらに強めることになると思います(※8)。
※6 清風クラブ代表・吉岡和信ほか「米軍Xバンド・レーダー配備受け入れについて」(2013年7月11日、京丹後市長宛)
http://www.city.kyotango.lg.jp/kurashi/oshirase/kikakusomu/somu/00060/documents/h250711_kaihayosei.pdf
※7 京丹後市作成「米軍TPY-2レーダー(Xバンド・レーダー)の配備計画に関する質問と回答」(2013年8月7日住民説明会配布資料)
※8 この倒錯した論理は、滋賀県高島市、高知県香南市での、オスプレイを使用した日米共同軍事訓練実施に関する日本政府発表にも確認できる。
http://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2013/09/06.html

 以上の理由から、私たちは、京都府京丹後市・経ヶ岬での米軍基地建設計画を拒否し、これに強く反対します。そして、防衛省、京都府、京丹後市に計画の撤回を要求します。

2013年9月10日(賛同呼びかけ)、9月17日(京都府庁へ提出済み

【呼びかけ】 
米軍基地建設を憂う宇川有志の会、秋林こずえ(立命館大学)、大野光明(大阪大学)、君島東彦(立命館大学)、冨山一郎(同志社大学)、藤岡惇(立命館大学)

【賛同人】257人・団体→  
                                   以上
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by mamorekyogamisaki | 2013-09-20 15:26


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